千葉県柏市で、地元に伝わり今も残る「昔話」は40を超えるそうです。
一つの市でここまでたくさんの「昔話」が残っているのは、伝えられていた話をずっと昔の方が一冊の本にして代々残していたからだといいます。
現在は、昭和60年に柏市教育委員会が発行した本によって語り継がれていて、昔話自体は現在、柏市のホームページで見ることが出来、柏市観光協会でも今後情報発信に取り組んでいくそうです。
そんな身近な地元の昔話を読んで、実際に話があったであろうという現地へと行ってみました。
「手賀沼にもぐった牛」かんたんに
一人の牛好きのお坊さんがいて、一頭の牛をとても可愛がっていました。
そのお坊さんは亡くなり、牛は大好きだったお坊さんと、手賀沼でたくさん水を飲んだり遊んだりした想い出だけが残ります。
そのあとによそから来たお寺に来たお坊さんは、牛が大嫌いで、牛を藤つるで縛り付けてしまいました。
牛は藤つるを自力で抜け出して、手賀沼に入っていって姿を消します。
その後、手賀沼のほとりを藤つるや藤模様の着物を着て歩くと、手賀沼の牛に沼へ引き込まれるという言い伝えが広まったそうです。
「覺王寺(覚王寺)」について
覺王寺(覚王寺)は
物語に出てくるのは、柏市松ヶ崎の覺王寺(覚王寺)ということで、実際に柏市松ヶ崎地区にある日通山覚王寺を訪れてみました。
真言宗豊山派(総本山奈良県長谷寺)のお寺で、ご本尊は大日如来(千葉県指定文化財―非公開)。
現在は静かな住宅街にありますが、元々は別の場所にあって、移転と建て替えで現在の場所にあるそうです。
昔話の真相
実際に足を運んで行ってみて、お寺の方に特別にお話を聞かせていただきました。
昔話の真相は・・・「分かりません」でした。
藤つるが残っているとか、牛をつないだ小屋がこれだとかいうのはないのですが、お話が境内の石碑に刻まれていると教えていただきました。
教えてもらわないと分からなかった!石碑の裏側に、刻まれていました。
その昔、覺王寺の住職が長年飼いならした牛がいた。牛は黒と白のまだらで、角の長さが三尺もあり、住職にしか懐かなかった。
やがて住職は世を去り、次に来た住職は大の牛嫌いだった。
寺男に命じて、手賀沼の近くの松林に繋いておかせた。ところが、どんな綱で繋いでも食いちぎって寺に戻ってくるので、いろいろ考えた末に藤つるで繋がせた。それから牛は寺に姿を見せなくなった。
ある日、寺男が松林に行ってみるとそこには、もう牛の姿がなく、藤つるの食いちぎった跡だけが残っていた。
それから村人たちは、手賀沼の主は覺王寺の牛であると言い伝えた。
沼を渡るときは、藤つるを持ったり藤模様の着物を着ていると沼に引き込まれると言い伝えられている。
覺王寺のご本尊「大日如来」について
覚王寺のご本尊、大日如来は非公開で通常見ることができません。
「仏様」の中で一番位が高いとされるのが如来さま。
その如来さまの中のトップが大日如来さまで、とっても尊い仏様です。
頭のない弘法大使さまについて
境内にある真言宗の教祖である弘法大使(空海)さま。
頭がありません。
これがすごく気になったのでお話を伺うと、元々は別のところにあった仏像、そこで何度も何度も弘法大使さまの仏像は、頭が盗まれる被害にあったそうです。
頭が盗まれてしまい、別の新たな弘法大使さまを置いたので、覚王寺様の境内で、頭のない弘法大使さまを大切にお預かりしているとのこと。
覚王寺様、おやさしい・・・(涙)
なぜ、弘法大使さまの頭が盗まれるのか?
謎は多く一説ですが、弘法大使さまの八十八体の番号と、昔の賭博の賭け札の番号に相性が良いとかで度々盗難にあったのかもしれないとか。
「手賀沼にもぐった牛」感想
手賀沼に牛がいる・・・。
手賀沼にウシガエルがいてブォーブォーと鳴き声が響くという話を聞きますが、その鳴き声と関係があるのでしょうか。
確かにウシガエルは外来種なので、1900年代に食用として日本国内で確認され始めたらしく、ウシガエルの声を聞いたことが無かった村人が驚いて「沼に牛がいる」と、「お坊さんが縛り付けた牛」と繋がる気がしますね。
昔話に「事実」を追い求めるのはナンセンスですので、ここは「ロマン」を感じたいと思います。
大好きで優しかった覚王寺のお坊さんと遊んだ手賀沼が忘れられなかった牛、藤つるに縛られたのに抜け出して、最後は寺に帰らずに沼へと消えていった。
なんだか、本当に泣けてきます・・・。(涙腺弱いですからw)
「手賀沼にもぐった牛」には別の説が!?
実はこのお話を聞いたのは柏市観光協会さんから!
なんと「手賀沼にもぐった牛」の話には「別の説」が存在することを教えてもらいました!
▼それがこちら▼
しばらくして、手賀沼の漁師たちが荒っぽい漁をしたために、手賀沼では魚が取れなくなってしまったそうです。
そのために村人たちは、覚王寺の飼っている白牛を「いけにえ」にして欲しいとお坊さんに頼みますが、お坊さんは断りました。
お坊さんと村人の話を聞いた白牛は「私が沼の主となって再び魚が取れる手賀沼にします」と言って手賀沼に入っていきました。
それ以来、また手賀沼では魚が取れるようになります。
覚王寺のお坊さんは、村人たちの為に自ら手賀沼の主となった白牛を弔うために毎日祈りを捧げたそうです。
やさしい覚王寺様、個人的にはこちらが残ってくれたらいいのに、と思いました。
「手賀沼にもぐった牛」さいごに
千葉県柏市に伝わる昔話「手賀沼にもぐった牛」について、紹介しました。
このブログでは、柏市に残る昔話や遺跡などの財産も紹介しながら、今の柏市の様子も発信していけたらと思っています。
地元に伝わる「昔話」を読んでみて、新しい地元の発見をしてみるのも楽しいですね!
なお、柏市の昔話については、柏市のホームページで紹介している他、柏市観光協会でも今後発信していくようですので、楽しみにしたいと思います!
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