千葉県柏市で、地元に伝わり今も残る「昔話」は40を超えるそうです。
一つの市でここまでたくさんの「昔話」が残っているのは、伝えられていた話をずっと昔の方が一冊の本にして代々残していたからだといいます。
現在は、昭和60年に柏市教育委員会が発行した本によって語り継がれていて、昔話自体は現在、柏市のホームページで見ることが出来、柏市観光協会でも今後情報発信に取り組んでいくそうです。
そんな身近な地元の昔話を読んで、実際に話があったであろうという現地へと行ってみましたので紹介します。
昔話「こんぶくろ池」その壱~かんたんに
昔むかし、村の畑に出ていた若者がいつものように池で水を飲んでいると、池の水が金色に輝き始めました。
びっくりして顔を上げると、目の前に美しいこんぶくろ(小袋・きんちゃく)が浮かんでいます。
いくら取ろうとしても取れず、村に帰って話をすると、「その袋は米を生むふくろだんべ!」、「いや子を生むふくろだんべ!」と伝わっていき、いつしかこの池を「こんぶくろ池」と呼ぶようになりました。
昔話「こんぶくろ池」その弐~かんたんに
昔むかし、突然、村に一人のお坊さんがやってきました。
お坊さんは、こんぶくろ池の使いでやって来たようで、今度「手賀沼の主」が「こんぶくろ池の主」に会いにくる、汚されては困るから、池のうなぎを取るのをやめてくださいと言います。
それを約束してくれるなら村の田畑の作物は今までよりたくさん取れるようにしてあげますと言って、こんぶくろ池の方へ消えていきました。
不思議に思った村人がこんぶくろ池に近づくと、大きなうなぎの顔が池に沈んでいくのが見えます。
村人達は話し合い、池のうなぎを取るのをやめました。
するとその年の秋から豊作が続き、約束を守り続けたといいます。
柏市の「こんぶくろ池」に行ってきました
今も残る千葉県柏市のこんぶくろ池に行ってみようと調べているうちに、気がつくと私はこんぶくろ池に夢中になっていました。
現在のこんぶくろ池は、2010年に設立された「NPO法人こんぶくろ池自然の森」のボランティアの方たちによって自然環境保全活動が行われています。
地元の貴重な自然を守ろうと活動されている方々、どんな風に活動をしているのだろう・・・こんぶくろ池ってどうなっているんだろう・・・と好奇心が止まりません。
実際のこんぶくろ池
こんぶくろ池と弁天池は、大地の表面で地下水が沸き出す珍しい湧水です。
水が豊かなこの公園では、湿地性の動植物が見られる貴重な場所。
NPO法人こんぶくろ池自然の森
NPO法人こんぶくろ池自然の森は、現在60名以上の会員さんがいます。
自然環境や植物や生物の調査を主に行う「調査グループ」と、公園自体の保護活動を中心に行う「里山グループ」があり、それぞれ行う場合もあれば合同で活動を行うこともあるそうです。
2010年にNPO法人が柏市から委託を受けて活動を始めた頃、この場所は荒れ放題で、入れるような場所でもなかったそうです。
環境を保護しながら整備して、今の美しい公園が保たれているのです。
実際に活動に参加してみた!
ホームページで調べていると、その週末に「里山グループ」の活動が行われるということで、またズコズコとお邪魔してきました(笑)←(おまえ、またかょ・・・)
とある土曜日、当日は20名ほどが参加されていました。
いきなりの参加にも関わらず温かく迎えてくれて、仲間に入れていただき、朝9時の「ラジオ体操」からスタート!
活動は3時間ということで、今回は遊歩道沿いの柵杭を打ち込むんだとか。
皆さん年配の方が多い中、私はまだ若い方なので、これはガンバラネバ!と思い、張り切ってやっていきましたが、ものの1時間でへばってしまった・・・(おい庭川)。
だって、皆さん・・・ガチなんですもの(笑)
とても年配のボランティアの方々とは思えない動きですよ。
それでも皆さんイキイキと活動されているのを見ていて私も何か力になりたいなぁと思っていました。
こんぶくろ池のルール
ここのルールとして「持ち込まない、持ち出さない」。
原生している植物は、外に植樹したりすることもなければ、別の場所で育った植物をここに入れたりもしないということです。
そして池の周りや湿地を踏み込まないということ。
出来る限り長く、こんぶくろ池自然公園が持つ生態系を守り続けていくためです。
めずらしい植物
「ズミ」という木ですが、関東では戦場ガ原などの標高の高い寒冷地で生息するらしいのですが、柏のような平地での生息は珍しい。
珍しい「ズミ」の木、温暖化や乾燥化で、このこんぶくろ池で少なくなり始めていることに気付いたNPO団体の皆さんは、ここで育ったズミの木の種から苗を育てて植樹を始めています。
絶滅しつつあるこんぶくろ池のズミの跡継ぎを残していこうと考えているのですね。
整備された遊歩道
この森の中の遊歩道を歩くと、静かで「都会のゴチャゴチャ」を忘れさせてくれます。
鳥の声、風の音、こんな素晴らしい場所が柏にあったのかと、おそらくは私のように知らない人もたくさんいるはず。
湿地帯ということで土の上を直接歩くと地面にも人の足にもよくないと、自分達でこんな木道も作ってしまったNPOボランティアさん達・・・何者ですか!?
野兎やタヌキもいるそうで、行った時にはタヌキのフンも発見!
寄付でいただける素敵なグッズ
100円~500円以上の寄付でこんなグッズも入手できます。
私はハンドブックと野鳥のストラップ5つ分の寄付をさせて頂きました。
ボランティアさんたちのお茶菓子代になってくれれば嬉しいと思いながら。
昔話(むかしばなし)について
たくさんの伝説
柏市のホームページで紹介されているお話は2つでしたが、現地管理塔で200円の寄付でいただいた冊子には、なんと7話もありました!
第1話「こんぶくろ池」
第2話「そこなしの池」
第3話「こんぶくろ池のうなぎ」
第4話「早川新平と蛇の化身」
第5話「大蛇の逢いびき」
第6話「大蛇のお産」
第7話「龍神祠」
柏市のホームページで紹介されているのはこの内の第1話と第3話なんですね。
大蛇?大うなぎ?龍?
昔話を読んでいると、このこんぶくろ池は、大蛇やうなぎなどの話が多いようです。
実際の今のこんぶくろ池は、深さは腰の高さほどしかない浅い池で思ったより小さな池でした。
大蛇や大うなぎがいたようには感じませんでしたが、それでもこの池には神秘的な世界と空気を感じずにはいられませんでした。
もしかすると浅いように見えて、実際には池の深さ以上にどこまでも深いのかもしれません。
今でも人を惹きつける力、周囲の自然を守っている自然の力を強く感じました。
昔話「こんぶくろ池」の感想
たくさんの伝説で語り継がれているように、このこんぶくろ池は、行けば分かるのですが、なんだかここだけとっても不思議な場所。
昔の伝説でもとても大切にされていた池だと分かりますし、世紀を超えて、今でも地元の人たちに愛され、守り続けられている場所です。
こんぶくろ池が今でも大堀川そして手賀沼の源泉にもなっているのは昔話の史実と同じです。
きっと昔はもっとたくさんの人の大切な生活の水源だっただろうし、近隣で放牧されていた馬などの動物の水飲み場だったのでしょう。
だからこそ、こんなにたくさんの伝説が残っているのです。
昔話「こんぶくろ池」最後に
今も尚、NPO法人こんぶくろ池自然の森の皆さんによって保護されながら残っている場所で、たくさんの人が住む柏市の街のすぐそばで「森の中」を感じられる、数少ない場所だと感じました。
この美しい場所を守り、残していくためにもぜひ多くの皆さんに訪れて、自然のすばらしさ、美しさを知ってもらいたいと思います。
そんな筆者も、NPO法人の会員にさせていただきまして、今後自然を楽しみながらお手伝いをさせていただこうと決めました。
コメント