千葉県柏市で、地元に伝わり今も残る「昔話」は40を超えるそうです。
一つの市でここまでたくさんの「昔話」が残っているのは、伝えられていた話をずっと昔の方が一冊の本にして代々残していたからだといいます。
現在は、昭和60年に柏市教育委員会が発行した本によって語り継がれていて、昔話自体は現在、柏市のホームページで見ることが出来、柏市観光協会でも今後情報発信に取り組んでいくそうです。
そんな身近な地元の昔話を読んで、実際に話があったであろうという現地へと行ってみました。
「狐いっぴょ」かんたんに
柏市藤心(ふじごころ)の狐峠(きつねとうげ)という場所のお話です。
昔むかし「おと市」という青年がこの狐峠にさしかかった時、17才ぐらいのきれいな着物を着た女性を見かけました。
「こんばんは」「どちらまで」と声をかけても何も答えなかった女性ですが、その後おと市の後ろをずっとついてきます。
「狐じゃないか」と思って、ふと見ると、姿がありません。
おと市の体にドンドンと何やらぶつかるものがあり、怖くなったおと市は、走って逃げて、逃げた先でドンとぶつかり、またドンとぶつかって、そのたびに方向を変えて走りました。
たくさん走ったのに元の場所に戻ったりしながら、辿り着いたのは自分の家とは離れた塚崎という場所でした。
こんなことが何度もあり、いつしか狐峠は「キツネいっぴょ」と呼ばれるようになりました。
柏市藤心(ふじごころ)の狐峠を探して
柏市藤心に「狐峠=狐いっぴょ」というところがあったということで、行ってみました。
アーバンパークライン逆井駅から徒歩10分ぐらい歩くと藤心という地区に到着します。
しかし、狐峠なんてのは地図にも何も載ってないのです。
「峠」というぐらいだから、山があるのか?
いや柏市にそんな大きな山なんて無いよね・・・と思いながらウロウロ。
歩いていた住民の方にも「狐峠」を聞きましたが、30年以上住んでいる方でも「知らない」ということでした。
「参ったな~」と思いながら、藤心近隣センターの看板を見つけて訪ねてみました。
藤心近隣センターの管理室の方にお話を聞くと、キツネの話は確かにこの辺はたくさんあると。
併設されてる図書館で資料のようなものが残っていないか聞いたところ、地元地区の地域新聞のようなものに紹介されていました!
今は狐峠とは言われていないけど、狐峠の頂付近には、「庚申塔(こうしんとう)」という石塔が鎮座しているらしい!
藤心近隣センターさんに泣きそうになりながらお礼を言って、すぐさまその住所にいくとありました。
場所は藤心2-4。
すっかり住宅街になっているけど、庚申塔は、近所の人に聞くと「庚申塚」とも言われて今でも地元で大切にされていました。
「ここに狐がいっぴょーだったのかー」なんて思いを馳せながら・・・。
藤心狐峠につながる庚申塔(こうしんとう)について
今回恥ずかしながら、初めて「庚申塔(こうしんとう)」というものを知りましたが、逆井駅から旧本多家の「藤心陣屋」跡の場所にかけて、かつて「狐峠だった」4箇所にこの庚申塔(こうしんとう)があるようです。
①の頂き部は今回私(筆者)が行きました。
②③④については、このブログを見ていただいた方からの「写真」を募集します!
(ご希望でニックネームやお名前で写真提供者も紹介させていただきます!)
(こちらのブログに写真掲載させていただくことご了承いただける方)
①狐峠の頂き部:藤心2-4
小さい石塔の馬頭観音は嘉永7年(1854年)だそうですが同じ年代のものではないのかも・・・破損していて建立年は不明です。
下の部分には三猿がみられます。
② 交通安全を見守ってくれている庚申塔:藤心1付近(三叉路)
<写真募集中!>
三叉路にあり、何度か交通事故に合われたとか・・・。
建立年は不明。
③ 「これぞ庚申塔」だそうです!:藤心1-3(樋口酒店の向かい)
<「写真募集中!>
邪鬼を踏みつける金剛様、夜明けを照らす鶏人間も。
建立は享保14年(1729年)。
④ 柏市最古:藤心306(宗寿寺門前)
<写真募集中!>
1基は17世紀半ば(1600年代)で柏市最古の庚申塔(こうしんとう)になるかも。
もう1基は「千夷申供養(せんこうしんくよう)」と、なんと1基で千倍のご利益を謳っているとか。
※「庚申塔(こうしんとう)」について、まだ不勉強なため、今回詳細は割愛させていただきますが、少しずつ調べていきたいと思っています。
「狐いっぴょ」の「いっぴょ」とは
地域によって峠を「びょう」や「ひょう」と読むこともあるそうで、「きつねひょう」がなまって「きつねっぴょ」から、「きつねいっぴょ」になったのではないかという説。
この情報も柏市観光協会様から!(いつもありがとうございます!)
「狐いっぴょ」を探し歩いて
今回、昔話に出てくる藤心の狐峠を探し歩きましたが、一日で33,000歩きました(笑)
他にも色々行って、ここに来るまでお財布落としたり色々あったんですけど・・・。
藤心でどれだけ歩いてどれだけの人に聞きまわったことか・・・。
近隣センターで聞けて調べていただいた柏市図書館藤心分館の方、センターの管理室の方、そして道を歩いていただけの住民の皆さんほんとに優しくて・・・。
僕は今思えば、この昔話のように、藤心地区をウロウロして、この庚申塔(こうしんとう)の前も何度も通り過ぎて、実は写真はセンターにたどり着く前に「なんだろ、これ」と思いながら撮ったものなのです・・・。
最終的に、この場所に戻ってきました。
ほんとに「狐いっぴょ」の世界に行った気持ちになりましたよ。
(単に凄い方向音痴なだけですが(笑))
「狐いっぴょ」さいごに
今回行った柏市の藤心地区以外に、周辺の増尾地区にも昔話がいくつかあります。
特にキツネやタヌキのお話が多く、昔は綺麗な森とやさしい人々、そして綺麗な水に恵まれた土地だったんだろうなと感じました。
この周辺の歴史的な城跡などの史跡や他の昔話もピックアップしていきたいと思います。
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