私の数多い趣味の一つが映画鑑賞なのですが、最近観たインディーズ映画『Opus posthumous』(オプスポストマス)という映画が凄く印象的、衝撃的だったので紹介します。
※2020年12月17日現在、AMAZONプライムビデオで視聴可能!
そして、もしかしたらとダメ元で監督ご本人へ直撃インタビューを申し込んだところ、私の作品への「愛」が伝わり(?)、お話も聞けましたので掲載します!
インディーズ映画『Opus posthumus』とは
大劇場などで放送されていない若手監督作品どのインディーズ作品を観ることが出来るサイト『DOKUSO映画館』で観ることができます。
なんと、スマホiPhoneだけで撮影!
監督、原作、脚本、撮影、音声、編集、美術など、そのすべてを「宮原悠」さんという方が一人で作ってしまった!
万人受けを気にせず、何かを訴えるようなメッセージ性の強い作品です!
ざっくりと『Opus posthumus』(オプス・ポスチュマス?)
なんとなく学生時代を終え、なんとなくこうなるだろうと想像していた自分の26歳。
それは想像していた「普通」とは違っていました。
絵描きになって絵で食っていきたいとう夢は持ちつつも、日雇いでしのぐ毎日、変われない自分と変わっていく大切な人たちに疑問を感じながら生きています。
同棲している彼女からも「自分の唯一の夢」を否定され、家を出た主人公田中は旧友と「殺人の練習」を始めるのでした。
鬱々と進んでいく話ですが、ラスト12分の急変に5分前の衝撃、そして最後の最後1分前に明らかになる真実。
感じたこと『Opus posthumus』
iPhoneだけで?
これ、ほんとにiPhoneだけで撮影されたの?というクオリティーとカメラワークなんです。
やろうと思えば、こんなことがiPhoneだけでできてしまうのか?
いや正確に言えば、もちろんiPhoneを使って誰でもが出来るということではなく、宮原悠さんご自身の能力と発想とセンスだと感じました。
ちょっと有名な動画配信タレント程度では、こんなこと無理ですよ・・・。
Apple社からお金もらってもいいのでは?(笑)
宮原悠さん一人で
ほんとにびっくりなのが、これを一人で制作したということ。
もちろん出演している俳優さん達は雇ってるのでしょうけど、監督、原作、その他ヘアメイク以外は全部一人ですよ。
もはや、「映画ひとり」ですわ!
どれだけの苦労があったのかと想像もつかないし、その行動力に驚かされます。
秀逸な原作(勝手な感想)
正直インディーズなので、粗い部分もあるし、万人受けを狙っているものではないと感じましたが、それでも最後まで一本芯が通っているストーリーに驚きました。
中盤ぐらいは「うーん・・・」と唸るところもあったのですが、最初の方の長いモノローグのようなものも、「うーん・・・」の中盤も、終わった後で「なるほど!」って全部繋がった気がしたんです。
ミステリー的な要素もあり、メッセージ性もありで、面白いというより「刺さる」「残る」といった感想でした。
ちょっと名場面
① 主人公田中の自宅すぐ近くのT字路。
(写真©2019映画「Opus posthumous」製作委員会)
帰ればいいのに何度も通り過ぎて商店街へと向かうところが印象的。
② 自転車に乗る田中
(写真©2019映画「Opus posthumous」製作委員会)
自転車のシーンが何度も出てきます。
26歳の愛車、ママチャリ。
③ 路上で絵を売る田中
(写真©2019映画「Opus posthumous」製作委員会)
家に帰らずに商店街へ向かい、ほとんど誰も通らなくなった時間に絵を広げるところが印象的。
④ 日雇いのバイトで怒鳴られる田中
(写真©2019映画「Opus posthumous」製作委員会)
「くず野郎」、「ゆとり」、「ポンコツ」と怒鳴られる田中。
考えさせられたこと
私のブログで、人生の分岐点や環境の変化には自分を少しずつモデルチェンジしていくことが楽しく前に進めるコツだと書いています。
この映画、「人が変わる」ということに関して大きなメッセージ性を感じたのです。
「順応して生きていくために」
「人は変わっていくもの」
「変わらなきゃ」
そういう観念全てを根本から考えさせられます。
変わることだけがいいことなのか、「変わらなくてもいい」という選択もあるのではないか、「変わりたいけど変われない人」はどうしたらいいのか。
もちろん乗り越えることも必要なのだけど、世の中には、乗り越えることもせずただ時間を止めたい人もたくさんいるはずです。
制作者の宮原悠さんの思いとは違うもかもしれませんが、私なりにこの作品はこういう受け取り方をしました。
宮原悠監督へのインタビュー
このような記事を書いている時に、ふともしかしたらお話が聞けるかもと思い、ご本人に直撃取材を申し込んだところ、なんと!快く話をしていただけました。
Opus posthumous、日本語の読み方は?
僕は「オプスポストマス」と読んでます。
「オーパス」と略すことがほとんどです。
何と読んでもらっても構わないんですよ。
難しいので、覚えてもらえない人の方が多いですから(笑)
1作目と伺いましたが、この作品を作ろうと思ったのは?
実はもともと地元で「俳優」として活動してたんですよ。もちろん売れてないですよ(笑)
その時に思ってたのが、いつもなんとなく自分が出たい映画や舞台ではなくてモヤモヤしてて、「だったら自分で作ればいいじゃん」って思ったんです。
初めて出来たのが「オ-パス」で、あまりたくさんの方に支持されるような映画ではないんですけど、それでもどこかの誰かが観てくれて色んな反応があるので楽しくて。
「面白い」と言ってくださる方もいるし、「つまんない」とか途中で退屈で寝ちゃった人も含めて全部ですね。
やっぱり自分は俳優よりこっちが楽しいって思ったんです。
日本で公開する前に世界各国のたくさんの映画祭に出展してるのですけど、おもしろかったのが、インドの人々に大きな評価をいただいたんです。
いまだに謎なんですけどインドの映画祭のアマチュアフィルム部門で「金賞」を頂いて。
90分ぐらいの映画でしたが、どのぐらいの撮影期間なんですか?
撮影自体は10日ほどで終わりました。
でも「制作期間」でいうと、脚本書き始めて編集が終わるまで1年ぐらいはかかっちゃいました。
一部協力してくれる人もいるんですけど、ほぼ一人でやるので、前後がすごい時間かかっちゃうんですよ。
メッセージ性の強い作品だと感じましたが、宮原さんが込めたものは?
実はそう「メッセージ性」はあるんですけど、それを自分ではうまく、文章や言葉で表現することが出来なくて・・・。
あえて言うなら、「人の成長」みたいなものを込めた・・・感じですかね。
決して「死の助長」とかではなく、なんだろ・・・環境などの変化で次のステップにいく勇気とか、庭川さん(ライター)が感じた通りで、それでもやっぱり現状を認めたくなくて「どうしても変われない人」もいて。
この映画ではその「変われない人」にフォーカスを置きました。
とはいっても、こういう「メッセージ性?」というか分からないんですけど、こういうことを僕は自分で説明したり言葉で発信することが苦手なんです。
だから自分が考えていることだったり、世の中の人が感じているようなことを「映像」にしちゃおうと思ったというのもあります。
映画に対する「こだわり」は?
観ることで言うと、小さいころから映画はほとんど洋画ばかり観てました。
子どもの頃によく、おばあちゃんに映画に連れていってもらってそれで映画が大好きになったんだけど、ほとんど洋画だったんです。
ウエス・アンダーソンというアメリカ映画界の人の作品が大好きで、この方の作品は映画のどこを切り取っても、「絵画」のように美しいんですよ。
作る方の立場では、ウエス・アンダーソンは「憧れ」だけど今はまだ「目標」にはできないかなと。
まだまだ映画制作者としては「卵」なので、「こだわり」とかそんな大それたことは言えないかもしれないです(笑)
2作目以降の予定や今後の構想などあったら教えてください
実は今、外国の映画祭に出展している短編作品があるんです。
映画祭が全て終われば、国内のどこかしらで公開できるかもしれません。
「Choose one」(チューズワン)という、短編映画です。
今回の「オーパス」もそうですが、作るうえで「音」というところも気にかけてました。
「オーパス」ではメトロノームだったりしたんですけど、もっとその映画の中の「空気感」のようなものを伝えたくて、何かの機械の音だったり雨の音だったり、後ろで流れているラジオの音だったり。
「オーパス」を見てくれた方で目の見えない方がいらっしゃったんです。
その方が、「面白いから映像が観たいなぁ」って言ってくれて、そういう方にも「音」だけでも楽しめるものが映画にあったらな、なんて思いながら作りました。
もちろん映画なので、映像の世界だし、今は音声ガイドもあるんだけど、その場にいるような臨場感の出るリアルな「音」です。
宮原悠さん、ありがとうございました。
インディーズ映画『Opus posthumous』最後に
私自身、ブログでエンターテイメントの記事を書くなんて考えていませんでしたが、インディーズ映画なるものに触れて、こういう世界もあるんだということと、すごくメッセージ性が高くてたくさんの人にも観てもらいたいと思いましたので書かせてもらいました。
作品への共感というよりは、たくさんの方に作品を観てもらって何かを感じてもらいたいとう一心です。
これがメジャーで大金をかけた作品ならあえて私がここで取り上げることはないと思います。
2作目の「Choose one」も楽しみにしています!
最後に、無理を言ってインタビューに答えていただいた宮原悠さん、ありがとうございました!
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